最終日の朝は薄曇り。朝食のハムエッグを食べる。食堂はとても立派な作りで、壁にはダーラム大学のボート部の写真が飾ってあり。娘さんの写真だろうか。昨晩、その辺の本をいろいろ漁っていたところ、ハンナという女性の物語を見つけた。山の中で何十年も一人暮しを続けて来た人の話だ。うーんイギリスもたいした国だ。
最終日は距離は長いけど、牧場歩きで標高差は無いからゆっくり歩けば大丈夫、ということでゆっくり歩くつもりだ。実はこの日も道に迷い、それも2度、結局大きな遠回りをすることになった。出発は朝9時。
この日は荒野を歩く、という雰囲気がぴったり。ウサギが一杯いる丘とか、Quarry(採掘場)の近くとかを通るけど、目印が殆ど無い。おまけにモヤがかかったような朝の天気。おまけに歩いている人は殆どいない。C2Cも湖水地方だけは特別なようだ。荒野の中には、ストーン・サークルがあちこちにある。地図の上にも出ているので200mくらい寄り道して見学。確かにストーン・サークルだ。イギリスの丘陵地帯は神話の時代も共存しているいうだ。羊の放牧はその時代から続いているんだろうか?
荒野の道は歩きやすい。道はあって無いようなモノ。すぐにわからなくなる。そして結局に道に迷ってしまった。時々、人が遠くを歩くのが見える。磁石を見ても、現在位置が不明なので不確かだ。私の持っていた地図は、4万分の1のC2Cのコースだけの地図なので遠くの風景から判断する事ができず困った。途中で一人だけ、いかにもC2Cウォーカという人がいたので聞けば良かったな。結局、見える村の方に丘を下る事にした。これが大きな失敗で、結局、Ortonには寄れずに、約90分のロスだ。このTrail Brazerのガイドブックはなかなかの難物だ。
こういうだだっ広い所を歩く時にはもう少し広範囲な地図が必要だなと痛感。湖水地方の山歩きでは25000が最適だけど、ここならば10万分の一くらいがあればいいな。でもOSマップは高いし。
とにかく、この日は歩いた。ようやく道を理解して、谷沿いの鉄道駅に向かう。かなり昼を過ぎているが、途中を急いだおかげで、このペースならば6時半には十分着けるなと思ったが甘かった。
最後の丘(Smardale Fell)を下る時に、道路標識の方角が違うなと手元の磁石を見比べて不安を感じたのだが、正しいと思う方向に道が見えなかったので、柵沿いに(Smardale Fell)を下ったのがマチガイだった。イヌには吠えられるし、鉄道の駅1個分をどうやって歩こうかと思案し道路をとぼとぼと歩く。1時間くらい遠回りだ。丘を下る時は要注意とは理解していたが1日に2回も道を間違えるなんて。
宿(Jolly FaramersというB&B)に着いたのは、19:45。なんとか明るい内に到着できた。宿に入ると、いきなり、”Hello!!!”と元気な声がかかる。小学生か中学生か3人組みの女の子達だ。えらい若いお客さんだな、と思ったらその宿の娘とその友達だった。部屋は3階の屋根裏部屋だが、今回のC2Cの宿では最高の部屋だった。バスタブは無かったけど、とてもくつろげた。
翌日ロンドンへの行き方をその娘に尋ねると、うーん、わからない、けど、ちょっと待っててね、とケータイで母親に電話してくれた。近くの駅から鉄道でLeedsに出る事ができるらしい。駅まではどうやって行くのと聞くと、ママが送ってゆくよ、とのこと。
Kirkby Stephen (キルビー・ステファンと発音する)は、ちょっとした村だ。街の中華レストランで焼きソバとビールで祝杯をあげる。こんなところでチンタオ・ビールを飲むのは変な気がするがホント中国人はどこにでもいる。イギリスにいると、中華料理のケータリングサービスは生活必需品のような気がする。
夜遅く戻って来ると、居間で、とある女性が小さな灯りの中で電話で話しこんでいた。この人がこのB&Bのマダムのようだ。
翌朝食堂にゆくと大混雑で驚く。駅までマダムに送ってもらう中で聞くと、マンチェスターから来たお客達らしい。車でやってきて、近くの劇場でショーを見て、夜遅くまで宴会をしていて、今日は近くを散策してから町に戻るらしい。そういえば、昨日の夜中に何か音がしていたが、あの連中が帰って来た物音だったのか。
Kirkby Stephen の近くにはNine Standardsもあるし、散歩には最適かもしれない。
Leedsの駅で驚いたのは、この路線から来たお客向けに、改札口がある事。ロンドンへは電車で返ろうと思っていたが、あまりに高額なのに驚き、バスで行く事にした上の写真は、その途中に目にした、商品取引所の写真。C2Cよ、さらば。