第6日目 Kinlochleven => Fort William , & Ben Navis (1344m) ; 目次に戻る :
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朝一番で食事をとる。マスターがポリッジはどうかい、というので初めてトライしたが、想像通りの味で食べられない。塩が欲しいというと変な顔をされた。だけど、この親切なマスターとマダムには感謝したい。
- サンドイッチのランチパックを作ってくれた
- 部屋にはアールグレーのティーパックがあった
ささいな事だけどうれしい。出発は朝8:10。それから街の中心まで行ってなんやかやと時間がかかってWSWを歩き出したのは8:35。最初の登りは朝日を浴びながらの気持ちよい道。
昨日は薄暗く感じたKinlochlevenの街が輝いている。幸先の良いスタートだ。
だけど、最初の丘を越えて山すその道に入ったとたんに雨が降って来た。これはまずいと上下の雨具をつける。だけど、雨は1時間くらいで上がった。途中廃墟のそばをとおる。この日は全く人とすれちがわない。確かにFort Williamに夕方つく人達はこんな時間には歩かないだろう。
Navis Forestに近づくにつれすれ違う人たちがパラパラと現れてきた。鬱蒼とした森を抜け、向かい側に巨大な山塊と登山道が見えて来た時には1時近かった。上のほうは見えないけれど大きな山並みで、ほおーっと思う。山を見て感慨を抱くのは久しぶりだ。天気はすっかり回復し散歩中のご夫婦が双眼鏡でBen Navisを見ている。登っている人が見えますか?と聞くと、沢山見えるよ、とのこと。少し勇気付けられた。
Ben Navisの上の方は全く見えないのだけれど、登山道は良く見える。だけどなかなかたどり着かない。麓のキャンプ場を過ぎて、直登する登山口に着いたのが、13:35。
この期に及んでも、こんな時間から登り始めても大丈夫なんだろうか、という気もある。周りを歩いているのは、散歩しているような人達ばかり。そんなところで、目の前に大きな木のベンチが現れた。一度ここで休憩をとろう。ゲイターを着けてたけれど、雨を吸って靴がとても重い。靴も脱いで、塗れた靴下も脱いで、ビスケットを食べる。
小さい子供を連れた親子が来て横に座る。なんと、今からBen Navisへ行くんだという。えっ冗談だろうと思ったけど、まあ行ける所まで行こうと歩き出す。そして登山道に合流する。あきれる程人が多いので少し安心。
大きな岩がゴロゴロしていてとても歩きにくい。途中で休憩する地図を見ると675m地点だ。まだサンドイッチも半分残っているし、アールグレーもリンゴもあるから大丈夫。5分休憩して歩き出す。その後は寒くて地図を見る気にもならない。と、後ろから走って来たお婆さんに追い抜かれた。なんなんだ、この人は。
800mから上は雲の中。1100mくらいから上はとても寒い。そんな中でも半ズボン姿の人もいるし、欧米人はタフだと思う。このBen Navisの登山道ですれ違う連中は、とても国際色豊かである。インド系が多いし、スペイン語やフランス語も聞こえる。中国系も少しいるけど、日本人とは一人もすれ違わなかった。イギリスで一番高い山と言っても日本では全く無名の山だしね。
イギリス人達はすれちがう時に挨拶するが、南欧系の人たちは挨拶しない人も多い。こんなに足場の悪いところで、挨拶するのは、まあ危ないともいえる。
20分歩いて1,2分岩陰で休憩を繰り返して前へ進む。
Ben Navisの上の方はなだらかな道。さっきのお婆さんは、このガスの中も走って下ってきた。頂上に到着 16:35。寒い。ガスで全く先が見えない。こんな所に長居は無用だ。晴れていればStriding Edgeのような鋭い尾根道が見れるのかもしれないが、とにかく寒い。僕が下る途中でも、まだまだ上に登って来る人達がいる。
岩だらけの道は下りといっても歩きにくい。先ほど休憩をとった675m地点に着いたのは18:00過ぎ。残して置いたサンドイッチを食べたら益々おなかがすいてしまった。この時間でも、未だ登って来る人がいる。変な説教オジサンまでいる。困ったもんだ。Fort Williamの宿(Distillery house)についたら19:40だった。Distillery houseの人は僕がチェックインすると早速本日終了の札を出して消えていった。
さあ祝杯を挙げようと街のレストラン(Navis Bistro)に入ったが、そこには地元のビールが無かった。トホホな感じでカールスバーグを注文する。レストランのウェイトレスさんは金髪の人で英語をしゃべっているけどイギリス人じゃないようで、注文が通じなくてあせってしまった。でも、Beef pieは美味しかった。このレストランの奥にはBarがあった。ああ、こっちへ入れば良かった。そこでは、ご老人2人がアコーディオンと地元の楽器を演奏していた。「庭の千草」のような曲だった。Scotlandなんだなぁ。
ホテルに戻って、未だ飲み足りない気分だったので、ラウンジに行くと、グラスゴーから来たという中年ご夫婦がいた。テーブルの上にはフリーのスコッチ・ウィスキー。そこでこのオヤジさんと馬鹿話に興じてしまった。スコットランドの発音は難しい。Midgeをなんとかしてくれっ。奥さんも笑い転げている。このオヤジさんはなかなかのエンターティナーだ。スコットランド最後の夜は楽しかった。