第四日目  Ben Lomond (1748m)             ; 目次に戻る : 次の日

 昨晩は外に食べに行きたかったけれど、荷物の中に缶詰やビールが残っているのでそれを食べて、朝は違うモノを食べたいと思って、街のスタッバクスでシュガードーナツを食べる。日本と同じ味だ。さぁ、今日は、Ben Lomondに行くぞとルンルン気分である。昨晩、Quennstownの街を探し回って、それなりに地図は用意しておいた。ビスケットと紅茶を持って、小さいリュックでいざ出発。

先日のスタート地点から歩き始める。そのまま登って行くと、若い白人の女の子が一人で道を探している。リュックを背負っているので彼女もBen Lomondに行くようだ。僕も同じ所で道に迷ってしまって二人でうろうろしていたけど、私が道を見つけて、彼女を案内する。暫くすると、また私が道を間違えてうろうろし始めると、彼女が、道はこっちよと言って先に行ってしまう。なかなかの健脚だ。丁度樹林帯を抜けようかという所で、その娘を追い抜いて、あとはひたすら歩く。途中のゴンドラ駅の近くあたりから少し人が増えてくる。そうだ、ゴンドラを使う手があったんだけど、そんなインチキはしない。

実はイギリスの女の娘(キャシーさん)のブログで、おばあさんと二人で世界中を登山旅行している旅日記があって、その娘とお婆さんはゴンドラを使わずに2時間で登ってしまったと書いていたので、簡単な山なんだろうという思い込みがあったんだけれど、結構きつい。実は地図には山の高さは書いてあるけど、Queenstownの街の標高がどこにも書いていない。ホテルで聞いてもだれも知らない。きっと200〜300mだろうから、それなりにきつい登りになるだろうことは覚悟していたが、やはり体が疲れていたせいか、とてもきつかった。

スタート地点 樹林帯を抜けた 突然視界が広がる

天気は最高。半ズボンで正解だ。樹林帯を抜けると、突然に視界が広がる。そしてQuennstownの街も遥かに見下ろす形になる。その辺で景色に見とれている人も多い。ゴンドラが出来るわけだ。Ben Lomondの西側にBowen Peak(1627m)という山があり、登山道はその2つの山の鞍部にまずは向かっている。その鞍部にはなんとベンチが置いてある。これは最高のロケーションだ。そして、この鞍部から引き返す人も多い。頂上への道はしっかり見えているけれど、ここが何mかわからないというのはとても不安な気分。キャシー達が2時間で歩いたなんてスゴイ。

しばらく休憩してから歩き出す。体調は良い筈なのに何故か疲れている。昨晩のビールが残っているのか、Hump Ridge Truckの疲れだろうか。頂上への道はとても傾斜がきつい。一歩一歩上に上がって行く気がする。体力がなくなって三歩進んで1回休むを何度と無く繰り返した。先を行く人達は全く見えないけれど、時々すれ違う人はいるから野垂れ死にする心配はないけれどきつい。

雪山が見える 頂上への道 Bowen_Peakが見える

それでもなんとか頂上にたどりついた。麓から2時間40分もかかってしまった。しかし頂上からの眺めは巣晴らしい。360どのパノラマだけど、とてもくっきりすっきり。これは登る価値のある山だ。Remarkables よりBen Lomondの方が有名なのはこの景色のせいだろう。周辺の山もきっと登れば楽しいに違いない。Queenstownはヒル・ウォーカにとっては天国のような所だ。

山頂には、周辺の山の方角をしめす表示板が置かれている。なんとBen Navisという山まである。山頂には、地元のオジサンと私の2人だけになったので、彼にイギリスにBen Navisって山があるのを知っている?と聞くが知らないとのこと。Queenstownの少し先にはGlenorchyなんて街もあるし、とてもスコットランドに似ている。オジサンの話では、Central Otagoはスコットランドと関係が深いとのこと。まあ私は、すっかりこの景色に酔ってハイな状態なので何か変な事をしゃべってた気がする。オジサンが山を下り。私はビスケットの昼食を食べる。毎日ビスケットばかり食べているが、Ritzとリンゴはとても相性が良い。

雪山が見える 頂上への道 Bowen_Peakが見える

そして頂上から降りて行くと暫くして、麓で見かけた女の子と出会った。彼女は相当バテテいた。私の顔を見て、とたんに、「私はもう歩けない、足が動かないの!!」と身振り手振りで大声で話出す。山道でこんな泣き言を言う人もめずらしいけど、「いやぁ、僕も30分前はまさにそうだった、3歩進んで止って休むを繰り返したんだよ」と笑いながら話す。彼女はひとしきり騒いだら気が治まったのか、Have a nice dayと言って登って行った。確かに日本じゃあんな高校生みたいな女の子が一人で山には来ないしなぁ。いや、Ben Lomondはそれだけ愛されているということだろうか。

もっと下ってゆくと、今度は中国系の女の子が一人で登って来る。頂上までどれくらいですかと聞いてくる。この子はむりだろうなぁと思ったが、どこまで登ったんだろう。

でも、Ben Lomondに登ってとても良かった。Hump Ridge Truckだけだったら、少し物足りない気分だったに違いない。Queenstownに感謝だ。