第六日目 Cowling => Kirkby Malham ; 目次に戻る :
その後
さあ最終日だ。少し欲求不満な感触と、ああこれで今回は終わりだ、という奇妙な安堵感が入り混じった感触。朝食は私一人。いつもの普通の朝食だ。昨日は今日に備えてアルコールを取らなかったし筋肉は全身ダルいけど天気も良いので助かったという感じ。
早めに9時前に出発。横の空き地のテントはもうない。とみると、遠くにテントを背負った人達が歩いているのが見える。ああ、本物のウォーカーだ。下の左の写真がその人達。彼らはストックで牛を追い払いながら歩いていた、スゴイ。おかげでまっすぐ歩けて助かった。そして最初の丘を登る。
丘の上の廃屋をやる過ごし、いろんな人達を追い抜いて、かなり気持ちの良い歩き。そして、Lothersdaleの村へ出る。そこにちょっとしたベンチがあって小休止してから進む。
そして、突然に私の歩行が終わってしまった。今回の歩行はここまでだった。
何が起きたかというと、Elslack moorの山道で肉離れを起こしたのだ。そのPinhawの丘には、あまりにウサギが多くて、一匹つかまえてやろと、ジャンプした瞬間に右のふくらはぎがギクッと行ってしまったのだ。こんな強烈な肉離れは初めてだった。目の前が真っ暗になった。人も居ない荒野の中だけど、ケータイを持って来て本当に助かったと思った。それでも、暫くはなんとかなるんじゃないかと横に歩いたり試してみたが、これは無理だと納得した。
30分くらいじたばたしたけど、村道を越えて、道の脇の草むらに座って、Brigantesに電話した。何度かのやりとりの後、14:00にEarbyのユースホステルに迎えに来てもらえる事になった。そのEarbyまでは下り道なので特に苦も無く降りる事ができた。Earbyは鄙びた村だけど、近くにPUBがあるのがガイドブックに書いてあったので、そこで軽く昼食を済ませて、ユースの前でじとっと待つ。しかし、ここのユースは全くの普通の民家だ。そして、やって来たBrigantesの車に乗せてもらってKirby Malhamに行く。車を運転して来た人は地元の人のようだけど、全く何を言っているのかわからない。これがヨークシャー訛りなのか?この車の中から時折り、PWのルートと交錯したり、歩いている人をみかけたりすると、天気もよくて、ああいいなぁとうらやましくなる。でも、しょうがない。
そして、Victoria Innに到着。なんて早い到着だろう。上の写真は、ちょうど昼過ぎで閉まっているところの写真。おもてでテーブルに座ってぼーっとしていると、暫くしてBMWに乗ったオジサンが現れる。地元の白人のオジサンだけど、なんとなく昔のサミーディビスJrに似ている。この人がこのVictoria Innのオーナのようだ。話好きの人で、さっそく僕を迎え入れてくれた。まだ、陽も高いけど、中庭(というか、裏口のドアの内側)のテーブルで太陽の下で一緒にビールを飲むことになった。Timothy Talorが無いのは残念だけど、ローカルのビターを飲む。こんなに早い時間から申し訳ないけど、おいしい。このオジサンは、いろいろ話をしてくれた。PUBの経営は大変なんだ、ビル・ブライソンはこの近くに住んでいるとか、ブリガンテスの彼はとても頭がいいとか。そのうち、せっかく来たんだからMalhamまで案内してあげようと、BMWで乗せていってくれた。車だとほんの数分だ。帰り道では急カーブでバスとぶつかりそうになってすっかり酔いが醒めたりと危ないオヤジだ。夕食の時にBARに行ったら、レストランの奥で白い上下でコックさんの格好をしていて、お互い目を合わせてニヤリ。こういう人と知り合いになれたのは肉離れの効用か。