1.イーストボーンの街
快晴。ホテルの食事が8:30からなので、駅まで散歩してコーヒーでも飲もうとしたけれど、朝の7:30なのに、駅では新聞も売っていないし、コーヒースタンドも開いていない。田舎の日曜日の朝だからしょうがないか。
泊まっている宿は受付カウンターにはアラブの強面風もいてしょぼいホテルだと思っていたが、地下の食堂での朝食は普通のイギリスのホテル風だった。例によってブリティッシュスタイルの朝食を詰め込む。
予定では、今日は歩き終わった後に、このホテルに戻って来て荷物を受け取り、そのままの恰好で駅まで荷物を引っ張って行ってロンドンに戻る。
食事を済ませて荷造りをして、ホテルを出たのは10:30、途中のコーヒーショップでスコーン(ブルーベリーチーズマフィン)を買って行く。リュックの中には魔法瓶の紅茶とビスケット。
J乗り場には既にバスが到着していた。運転手さんに、County Parkまでと言うと、往復か、と言われて、そうだよと4GBPを払ったけれど、結局は無駄になってしまった。まだコースを見ていないので本当に歩けるかどうかが心配だっだんだ。バスは2階建てのバスだ。
このバスは最初は海岸通りを走るんだけど、内陸に曲がって坂を上がって高台に出て、そのの景色に驚いた。素晴らしい景観だ。まあ普通の草原風景なんだけど殆ど木が無くてなだらかな丘陵地帯の草原のグラデーションがとても美しい。一気にテンションが上がり、すっかりこの丘陵地帯を歩く気になってしまった。
Country parkではかなり多くの人が降りた。案内所で話を聞くと、Eastbourneまで歩いて4時間コースらしい。それは内陸部を歩くのでなく海岸線を歩くいう。海岸線は歩きにくくないですか?と聞くと、いいえとても快適な道です、とのこと。私は海辺の道を想像していたけれど、案内所の人が言っているのは崖の上の道、South Downs Wayのことだったんだ。とりあえず簡単な地図(1BBP)を買って海に向かって歩く。天気が良く気持ちがいい。いかにもイギリス人が好みそうなところだ。
Country parkの事務所からしばらく歩くと海辺に着く。この白亜の崖の存在感は素晴らしい、圧倒される。さてさて、では歩き始めるか、と崖を登り始める。本当のSouth downs wayはもう少し内陸部から坂道になっているが、海辺からも崖に登る道がある。この坂を上る途中で日本人観光客2人に会う。久しぶりの日本語に驚くが彼らを置いてさっさと登ってゆく。
上まで登ると、ずーっと東のEastbourneの方までなだらかな丘陵地帯が続くのが見える。天気も良いし、ここを歩けるなんて幸せだと思いながら歩く。ここを歩いている人たちはかなり多い。ただウォーキングスタイルの人は少なくて、ちょっと散歩に来たんだという雰囲気の人がとても多い。
さあ、後は楽しんで歩くだけだ。
崖の上の道から、えっこんな所を降りていいのかと思うような坂道を降りて平地に出た。なんだか、とても平和な道だ。なんだかカーニバルの道を歩いているような感じ。遠くにイーストボーンのボードウォークが見えてくる。
普段の日常からは考えられないほどの穏やかな平和な午後を過ごせて幸せだなと思う。確か、Robert Goddardの最近の小説に、この辺の海辺のゲストハウスが出てきたけれど、そんなメランコリックな感じは全くない午後だ。
無事にホテルに着いて、荷物を受け取り、そのまま引いて駅まで歩く。駅で電車の時間を調べてから駅前のパブで食事をとる。ローストポークを注文したはずだけど、間違えてローストチキンが来るけどOK、やはりPUB飯は旨い。ギネスもうまい。早くシャワーを浴びたい気もするが、全く問題ない。このPUBのexclusiveな雰囲気もいかにもイギリスの田舎という感じで良い。
ロンドンに戻る電車の中では幸せの余韻に浸っていたけれど、ロンドンに近づくに連れて天気が悪くなるのはどうしたことなんだろう。そして、また、雨の一週間が始まった。