第ニ日目 Redbrook ==> Langatock Lingoed ; 目次に戻る :
次の日
昨日は宿への到着が遅くなったので、朝、早く出る。スーツケースをパックしてマダムに渡す。Old Brewery Houseよさらば。出発、8時45分。
ここでは昔、本当にビールを造っていたとのこと。
朝は曇り空。全く人を見かけない。
10時にはKyminの山頂に到着。ここに来るまで、人と全くすれ違わない。不安になる。日本にいた時から、何がBlack Mountainなのか、わからなかったけど、山頂の指示板を見ると、どうやら、Offa's Dykeのコースの山塊のことかと思った。
Kyminを下ってManmousに向かう。リュックを背負った歩行者とすれ違った。20代のブロンドの男女2人ずつ。helloだけの挨拶だけど、仲間が居てうれしかった。
マンモスは、ちょっとした街だけど、あっという間に通りすぎてしまう。この街で昼食と飲み物を仕入れなかった事を、この後、ものすごく後悔することになった。
マンモスの郊外を抜けると、道がとてもわかりにくて、騙されてしまった。別なfoot pathのstilesを越えて行ってしまったのだ。1kmくらいは余分に歩いただろう、30分も、うろうろして疲れてしまった。
この日は、いろんなところを歩いた。わかりやすい道は問題ないのだけれど。
こんな道はいやだ。
だんだん、道がゴミゴミとして来た。あまり、気持ちの良いところではない。
ガーン!ついに決定的な場面。これは、先へ進めない。20匹くらいの牛が小川の向こうで待ち構えている。暑さで相当へばっているところで、こんな目にあうなんて。15分くらいじっと待つが牛達は退いてくれない。日本だったら、この辺でブチ切れてしまって放棄していたかもしれないけれど、既に荷物が次の宿に着いているので宿まで歩かねば。
そこで地図を見て考えた。Offa's Dyke Pathは牧場の中を通っている。少し戻って、車道を歩けば、2-3kmの遠回りになるけれど、先へ進めるルートを見つけた。よし、撤退、迂回作戦開始。あーあ、何をやっているんだろうなぁ。
地図とコンパスを見ながら、無事、迂回成功。この辺の車道は、たまにトラクターが通るくらいで、車は殆ど通らない。炎天下のもうろうとした気分の中、このまま、車道を歩きたい誘惑に駆られたが、Grandgeの看板を見つけて、また牧場を目指す。ひょっとしたら売店があるかもしれない。が、無かった。水道水を使わせてもらって、顔を洗って、少しだけ元気が出た。ここからの風景は見晴らしが良くてきれいだ。丘を下って行くと、果樹園、リンゴ畑に出た。契約リンゴらしく、厳重に囲ってある。その中の道には、全く羊の糞が無い。わずか200mくらいだったけど、この奇跡的な空間に感謝。
果樹園を過ぎて、またすぐフラつき始めた。どこかで、ちゃんとした休憩が取れれば良いのだが。そんな場所が、どこにもない。まだまだ、先は長い。ボーっとした頭で歩いていると、牧場の農機具置き場の小屋に、PUBの看板がかけてあった。こんなところにPUBがあるのか?
農協の即売所のような雰囲気だけど、フラフラと吸い寄せられるようにちかづいて行く。なかは、そのまま土間が続いたような明るい広間だった。3人連れがちょうど出ていって、マスターと二人だけになった。大きな男だけど、親切な男だった。スパークリング・ウォータを注文し、テーブルでじっくり味わっていると、近くに座ってポツポツと話し掛けてくる。まるで、砂漠にオアシスと交易所を見つけたような感激。彼は、いろいろ教えてくれた。今日は木曜だけど、明日の金曜はもう一杯なんだとか。あっちの部屋には巨大スクリーンがあって、皆で飲みながらサッカーやラグビーを見るらしい。どんなビールが置いてあるのと聞くと、一つ一つ教えてくれた。なんとCiderがある。そういえば果樹園の中を歩いたよというと、そう、この辺では契約農家がリンゴを作ってして、それらがciderになるとのこと。いくつか味見させてくれた。SweetとDryがある。彼は、僕の今日の宿のOldRectoryは知らなかったが、その近くのHunter’sMoonは知っていた。今晩はそこで食事するんだけど、Hunter’sMoonにも良いCiderがあるよ、本当かい。なんだか俄然、元気になった。すっかりリフレッシュして、歩き出す事ができた。この時間帯はとても疲れていてデジカメ写真を撮っていなかった。このPUBのカードをもらったのでここに掲載。ちなみに、ここは、Tre Adams、地図には出ていないPUBらしい。
White Castleを過ぎて、地図の上では、あと数km程度だから、なんとかたどり着けそうだ、というところで、またも牧場のStilesの前に数匹の馬の群れ。今になれば、そう怖がらずに歩けるんだけど、未だ慣れていないもので、ここでもルートを断念。また、遠回りで車道を歩く。その途中、サイクルウェアを着たロードレーサがゆっくり通りすぎて行くが一人が戻ってきて僕に話し掛けてきた。「あなたは日本のかたですか?」うわぁ、この大男は日本語をしゃべるんだ。日本のどこだったけ東西線の東のほうに、4年間住んでいたらしい。僕が小田原からだよというと、おお知っているよ。僕は疲れていて、あまり気の効いた会話もできずに別れたけれど、ちょっと面白かった。
途中のLlantillo Crossennyでは、石の橋の手すりに腰掛けて休憩した。ああ、あのPUBを除けば、これが初めての休憩らしい休憩だ。
歩いているうちに、突然、Hunter's Moonの前に出た。店の前にスノッビーな2人連れが居るのが気になったが。ふーん、ここか。そうか、夕方は閉まっているんだ、と、Old Recteryへ急ぐ。Innに到着17:50。朝8:45から、休憩した30分程度の他は、ひたすら歩きっぱなしだった。Mrs.Ballが紅茶を入れてくれる。ミルクと砂糖を入れた紅茶がこんなにおいしいとは。今日は、結局マンモスの街を過ぎてからは、一人もすれ違う人がいなかった。靴は玄関に置いて、くつしたのまま部屋にあがる。残念ながらバスタブはなかったけど、部屋は快適だ。
ラウンジで紅茶を飲んでいると、さっきの二人連れが入って来た。都会から来たみるからにエリートっぽい感じの2人。きっと大学生だろう。一人はビル・エモットのような雰囲気。もう一人は、文芸部にいそうな感じの女性。ふだんのストレスまみれの生活から逃れて来たという雰囲気。
Mrs.Ballの話では、この辺には結構日本人の家族も住んでいるとのこと。なんでもYuasaBatteryの工場があるらしい。ふーん。
部屋に戻ってシャワーを浴びて、19:00になるのを待って、Hunter’sMonnに行く。予約が入っているはずだけど、BARで食べる方がいいなとBARに座る。後で、レストランのマスターがこっちで言いのですかと尋ねてねてきたので、言っといてあげれば良かった。カウンターの女の娘に、Ciderはきついのかというと、そうでもないらしいので、ハーフパイントのCderとスパークリングウオータを頼む。ラザーニァがボードにあり、これを注文。Ciderがおいしい、お代わりを注文してしまった。ラザーニャもおいしい。満足してInnに戻ると、デジカメのACアダプターを、前の日の宿に忘れてきたのに気付く。こまったしまい、マダムに相談、電話して、ロンドンで私がとまる宿に送ってもらう事にした。はなしが通じた。Nrs.Ball,Mrs.Knapman,ありがとうございました。
そして、Ciderに魅了された夕食だった。