3日目 キナバル山の山小屋 から頂上(Low's Peak 4095m)往復            ; 目次に戻る : 次の日

山登り2日め:
朝2時頃からがやがやと騒がしくなって3時には皆出発していった。3時過ぎに起き出して、お湯を沸かしてSabah teaを水筒につめる。日本から持参した干しイモをかじって朝食代わりにする。4時丁度にサファレイが現れて、さあ出発。荷物は水筒と雨具ぐらいにしたので相当軽くなって1.5キロくらい。
外は真っ暗、だけど星がきれい。こんなきれいな星空を見たのは何年振りだろうか、感激。
道がわかりにくいので、サァフレイさんに先に歩いてもらう。彼は軽快に呼吸もかわらずにどんどん登って行く。先行した人達は当然の事ながら全く見えない。15分くらい歩いたところで、吐き気がしてきて、頭が猛烈に痛くなって来た。頭にはヘッドバンドの電灯を付けていたのだけど、これが頭をしめつけていて高山病の症状を加速させていたようだ。電灯を手に持ってふらふらとゆっくり歩いて行く内に、なんとか体も慣れて来て症状はおさまったようだ。サヤンサヤンの山小屋で入山証の最終チェックがあり、さあこれから、と歩き出すと、この小屋の回りには、多くの人達が暗い中でじっと座って休憩してた。ああやっぱり皆、高山の影響を受けているんだなと、思った。そこからの登りは、歩きやすい岩の上だったけど、風が寒い。ところどころ、風をよけて休憩する。先行していた人達が回りにどんどん見えてくる、暗闇の中、寒さと戦いながら、のろのろ歩いている。彼らの電灯がポツポツと先に見えて来る。なんだかコンモリした岩山が近づいてくる。素早く登って行くと、そこが頂上だった。5時45分。まだ、まわりは暗い。

山頂で朝日を待つ 山頂の人達


頂上は寒い。
こんな寒いところで夜明けを待つなんてイヤだなぁ、やっぱり遅く出発して正解だった。そのうち、明るくなって気がつくと数十人くらいの集団になっていた。雲があるので日の出は見えない。横ではオーストラリアの若い男女が押し競饅頭をしている。きっと富士山の登山もこんな感じなのかもしれないと思った。頂上に30分くらいいて、暖かいお茶(サバティー)を飲んで、記念写真も撮って山を降りた。登って来る人達も多い。軽快に降りて行く。回りを眺めて、確かにこれはとんでもない景観だなぁ思う。マレーシア最初の世界自然遺産なのもうなずける。マラソンするのは空を飛ぶような感じだなぁ。ついでにサウスピークへも行ってみたい気分だった。

山頂から降りる途中にサウスピークを見る 登って来る人達 白いロープが登山道


山小屋に降りてくると晴れていた。食堂に降りて遅い朝食を取る。トーストとポーチドエッグとコーヒーだけの簡単な朝食だけど、とても満ち足りた気分。きょうは山小屋で本を読んでいよう。”Ordinary Heros"を持参してきて良かった。

質素だけど満ち足りた朝食 朝8時の朝食風景


食堂から戻って来ると頂上から降りて来た団体さん達でごった返していた。彼らは今日の内に麓まで降りて行くのだ。10時過ぎには皆いなくなり、初めてシャワーを浴びた。あんまりお湯があったかくならないので冷たいシャワーだった。でもサッパリした気分で、横になって休息。そのうちに、小屋掃除のお兄ちゃんがやってきた。1日分のゴミを大きなカタマリにして持って降りていったが、あのゴミはどうやって処分するのだろう。

12時になったので食堂まで下りていって昼食を食べた。まだ本日の登山客は来ていない。連泊客は何人かいるようだ。昼食のあまりの量に驚いてしまうが全部食べた。ビールも飲みたかったけど明日も山歩きがあるのでやめておく。満腹になって部屋に戻って横になる。牛になってしまう。

パナラバン山小屋 ボリューム万点の昼食 ラバンラタ小屋


そういている内に、ポツポツと人が来始める。昨日とは全く違う顔ぶれなのに、このグンティン・ラガタンの山小屋は、また昨日と似たようなインターナショナルな雰囲気が出来あがる。ここに連泊して定点観測するのもおもしろいかもしれない。
この日の山小屋の客の中には、堂々とした若くてきれいな白人女性や、素朴で純情そうな若い中国人女性がいて、へえこんな人達がいるんだなと思ってしまった。こんなにオーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・韓国・台湾の人達がいるのに、何故、日本人がすくないのだろう。確かに、この山小屋のトイレやシャワーを普通の日本人が使うのは相当苦しいかも、と感じた。
中には自分の理屈をとつとつとしゃべるドナルド・サザーランドに似たオジサンまで居ておもしろい。

6時半になり夕食に降りて行く。今日は昨日のような騒がしい団体客はいないみたいだ。簡単に食事を済ませて、部屋に戻る。部屋にはマレーシアの地元の人が3人やって来た。なかなか彼らの英語がおかしくて話が通じにくいが、彼らがキナバル山を誇りに思っている事は良くわかった。マレーシアとインドネシアのロ−カルの言葉は殆ど同じという事を聞いてああそうだったのかと思ったり、彼らが日本の女の娘はかわいい、というのを聞いて不思議に思ったり。一緒に記念撮影に納まったり、なんだかだでうるさい連中だった。うち1人は、そのうち西を向いてお祈りを始めた。こうやって、山小屋2日めの夜はふけて行った。