第二日目 Rowardennan => Inverarnan , Ben Lomond (974m) ; 目次に戻る :
次の日
朝は4:30に目が覚めてしまった。まあぐっすり6時間は寝たので大丈夫だ。グラスゴーで買った25000分の1の地図(OS map)を眺めて地形を頭の中に叩き込む。行きは通常ルートで帰りはPtarmigan経由で。本当はもっと北の方からLoch Lomondの湖畔に降りれると楽なんだけど。
朝食は一階の食堂で。私のテーブルの周りは、ドイツから来た夫婦2人とイングランドから来た夫婦2人。皆英語でしゃべっている。食堂に集まっている面子を見ると、外見上は私が一番の最年少ではと思う。皆に今日はBen Lomondへ行くんだと宣言すると、皆ほーっという反応だ。歩く人たちばかりなので、アイルランドが良いとか、どこどこの島が良いとか、そんな話ばっかりだ。
マダムのFionaさんに見送られて8:20に出発。Fionaさんは北欧出身の人かと思ったら地元のスコットランドの人だった。でも母親はオランダの人らしい。ヨーロッパでは国が違うのは日本で県が違うくらいの感覚かもしれない。
Ben Lomondの麓には公園事務所がある。ちょうどオジサンが店開きをし始めているところだった。登り口はそこだよ。さあ頑張れよ、という感じで道を教えてくれた。このゲートを通ったのが8:45。長い一日の始まりだ。歩いて30分もすると汗びっしょり。昨晩の2パイントを呪いたくなる。でも山道歩きは楽しい。1時間くらい歩き始めたところで、後ろから歩いて来た人に追い抜かれた。驚く事に70歳くらいの人だ。実際はもっと若いのかもしれない。身軽な格好で恐ろしく早い。どのコースを行くのか聞くと、Cailnessまで行くとのこと。後で地図を見てわかったのだが、CailnessはBen Lomondから北西方向に下った村だ。結局、この後は、このおじいさんの後をひたすら後を追いかけて歩いた。標高が高くなるにつれて、下の景色がとても良く見えてくる。
頂上はあそこだなと見えて来るが、黒い雲が近づいている。雨はなさそうだなあと感じるが、急激に寒くなってくる。風が冷たい。スコットランドは夏でも600m以上は高山だ。半ズボンで歩いて来た事を後悔する。寒いのでセーターとヤッケを着る。あまりの寒さで、これは早く先へ行かねばという気持ちになる。おかげで頂上に着いたのは10:35。974mおじいさんから10分遅れ。おじいさんは既に北西方向に下っている。確かに道はあるんだけど、私の地図には無い。頂上の下の岩陰で風を避けながら休息をとる。雲が早い。Loch_Lomondの湖面が暖かそうに輝いている、早く下界に戻りたい。バナナとお茶で栄養をつけて、予定どおりPtarmiganへ向かう。
Ptarmiganを過ぎて、ようやく体があったまって来た頃に、ルートの横に大きな石があったので、その石の上で休憩を取り、ビスケットを食べていると、このターミガン・ルートを上がってくる2人がいる。ドイツ人風の若い男女だ。よくこんな厳しい方の道を歩いて来るなと思う。頂上は風が強くてとても寒かったよと言うと、そうか雨が来ない内に登ろうとさっさ
と消えて言った。結局、Ben Lomondで会ったのは、これら合計3名だけだ。私の後ろに何人かいたかもしれないけれど、WHWを歩く人の数に比べると極端な差だ。なんだかんだで、WHWの本道に戻ったのは12:30。実はこの日は、ここからが地獄のような歩きの始まりだった。
これも後でガイドブックを読み直して知ったのだが、WHWを歩いた人に、どのルートが一番きつかったかを聞くと、Loch Lomondの湖岸沿いに歩いたコースが一番きつかったと答える人が多いらしい。私の場合は、おまけに4時間の山登りをしてきたわけで、これは辛いはずだ。
Lock Lomondの湖畔の道を延々と歩く。最初は林道のような歩き易い道だったけど、途中からくねくねとした細い道になる。それでも、歩いている人は多い。WHW walker以外にも一般の観光客も多い。グラスゴーから来た2人は、今日はDrovers INN に泊まるんだと元気そうに歩いている。アジア系の人は全く見かけない。お昼過ぎは天気も良くて皆元気そうだったが夕方になると休憩している人達も苦しそうだった。その内に水も食料も無くなって、どこかで補充したいけれど売店も自販機も無い。ポケッと沖の遊覧船を眺めながら最後のビスケットを食べる。すっかり足がまいっている。
雲行きも怪しくなってきた。周りに歩いている人はあちこちで見かけるので野垂れ死にするような不安は全く無いんだけれど、体力的には相当きつい。もう限界だなぁと思う頃に、Beiglas Farmについた。18:45だった。そこでミネラル・ウォータとクランベリージュースを飲んで生き返った。そして、なんとDrymenで同じB&Bにいたリーズの男とばったり会った。彼は僕のルートを知っていたので、Ben_Lomondに行ったのか?と聞いてきた。ああ、今日はとても長い一日だったよ、とお互いクールに挨拶する。
今日の宿に電話して、Beinglas farmに着いたことと、食事してからまた電話するよと伝える。ここのPUBで、チキン・ガーリック・カレーとギネスを注文する。ギネスが旨い。カレーも旨い。ここのPUBの娘は南アの娘らしい。Working holidayだろうか。田舎のPUBの食事はおいしい。疲れた体がじーんと痺れている感じだけど、薄暗いPUBでグダーッとしているのは幸せな時間だ。
この日の歩行は反省点が多かった。まず寒さ対策。800m以上は高山である。半ズボンはもっての他だ。そして食料。やはり水は大目に持っていくのが良い。この経験をBen_Navisに生かせる事を祈ろう。